Hassan Pyramids Hotelから行く大エジプト博物館(GEM)完全ガイド
大エジプト博物館(Grand Egyptian Museum:GEM)を快適に見学するためには、事前の準備が大切です。特に観光シーズンには当日券が完売する場合がありますので、ご来館予定日の2~3日前までに公式ウェブサイトからチケットをご購入されることをおすすめします。 また、館内には持ち込みが禁止されている物があります。食品・飲み物、セルフィースティック(三脚付き自撮り棒を含む)、カメラ用三脚などは館内へ持ち込むことができません。これらはホテルや車内に置いてからご来館いただくと、スムーズに入館できます。 タクシーなどでお越しの場合は、館内の手荷物預かり所をご利用いただけます。見学終了後に荷物を受け取ることができますので、ご安心ください。 入館時には手荷物検査と金属探知機によるセキュリティチェックが行われます。携帯電話、鍵、財布の中の硬貨など、金属類はあらかじめ検査用トレーに置いていただくと、スムーズに通過できます。 セキュリティチェックを終えると、まず第1中庭へ進みます。中庭の左奥にはチケットカウンターがあり、空席がある場合は当日券を購入することも可能です。また、チケットカウンター上には公式ウェブサイトのQRコードが掲示されており、その場でオンライン購入することもできます。 なお、オンラインでチケットを購入する際は、エジプト滞在中に受信・確認できるメールアドレスをご登録ください。購入した電子チケットは登録したメールアドレスに送信されます。旅行中に確認できないメールアドレスを登録すると、チケットを提示できず入館できない場合がありますので、ご注意ください。 チケット確認を終えると、いよいよ大エジプト博物館の見学が始まります。 ラムセス2世のオベリスクとエジプトの地図 チケット確認を終えて第2中庭へ進むと、まず目に飛び込んでくるのが、高くそびえ立つラムセス2世のオベリスクです。 エジプトに現存するオベリスクの多くはルクソールやアスワンなど南エジプトにありますが、このオベリスクはそれらとは異なり、ナイル・デルタ地方の古代都市「タニス」から移設された大変貴重な文化財です。 現在、このオベリスクは特別に設計された黒い台座の上に展示されています。もともとは花崗岩製の台座の上に建てられていましたが、博物館への移設に伴い新しい展示方法が採用されました。 この展示方法によって、これまで地中に隠れていたオベリスクの底面を見学できるようになりました。底面にはラムセス2世を表す貴重な彫刻が残されており、世界でも非常に珍しい展示方法として注目されています。ぜひ台座の下から見上げて、この特別な彫刻をご覧ください。 黒い台座には、エジプト全土の地図も描かれています。 東側には紅海(レッドシー)があり、その北部にはアカバ湾とスエズ湾の二つの湾が広がっています。この二つの湾に挟まれた地域がシナイ半島で、エジプト領でありながらアジア大陸に属する特別な場所です。一方、エジプト本土の大部分はアフリカ大陸に位置しています。 また、スエズ湾から地中海へと続く細い水路が世界的に有名なスエズ運河です。この運河は地中海と紅海を結ぶ重要な国際航路であり、アフリカとアジアを分ける地理的な境界としても知られています。 地図の西側には、エジプト文明を支えてきたナイル川が南から北へ流れています。ナイル川はエジプトだけでなく複数の国々を流れ、最終的に地中海へ注ぎます。その豊かな恵みによって、古代エジプト文明は数千年にわたり繁栄しました。 さらに台座には「エジプト」という国名がさまざまな言語で表記されており、日本語の「エジプト」も見ることができます。 黒い台座の色にも意味があります。古代エジプトでは国を「ケメト(Kemet)」と呼び、「黒い大地」という意味がありました。これは、ナイル川が毎年もたらす肥沃な黒い土壌を表しています。広大な砂漠に囲まれたエジプトでは、この豊かな黒い土地こそが文明を育んだ命の源だったのです。 それでは、いよいよ館内へ入っていきましょう。 入館前に、ぜひ博物館の外観にも注目してみてください。 大エジプト博物館の正面ファサードは、ギザの三大ピラミッドをイメージした美しいデザインとなっており、古代エジプト文明を象徴する壮大な雰囲気を感じることができます。 建物の壁面には、楕円形の枠の中に数多くの王や王妃の名前が刻まれています。この楕円形の枠は「カルトゥーシュ(Cartouche)」と呼ばれ、日本語では「王名枠」と訳されます。 古代エジプトでは、ファラオや王妃の名前は神聖なものと考えられており、カルトゥーシュで囲むことで永遠の命と王権を象徴していました。そのため、この王名枠は古代エジプト美術を代表する重要なシンボルの一つとなっています。 さらに、博物館正面には大きな開口部が設けられています。このデザインは単なる建築上の演出ではありません。 館内へ進むと、巨大なラムセス2世像が来館者を迎えます。この開口部は、アブ・シンベル大神殿で見られる有名な「太陽の奇跡」に着想を得て設計されています。 ラムセス2世が建立したアブ・シンベル大神殿では、毎年 2月22日 と 10月22日 の年2回、昇る太陽の光が神殿最奥部まで差し込み、ラムセス2世と神々の像を照らす神秘的な現象が起こります。 これは古代エジプト人が高度な天文学と建築技術を駆使して実現した奇跡として世界的に知られています。 そして大エジプト博物館でも、この壮大な歴史を現代に受け継ぐため、建物正面の開口部から差し込む自然光が館内のラムセス2世像を照らすよう、綿密な計算のもとで設計されています。 古代エジプトの知恵と現代建築技術が融合したこの演出は、大エジプト博物館ならではの見どころの一つです。 豆知識 アブ・シンベル大神殿の「太陽の奇跡」は、世界中から多くの観光客が訪れる人気イベントです。年にわずか2日しか見ることのできない神秘的な現象として知られています。 ラムセス2世の巨像 ― 大エジプト博物館を象徴する傑作 館内へ入ると、まず目の前に現れるのが、高さ約11メートルを誇る壮大なラムセス2世の巨像です。大エジプト博物館を代表する展示物の一つであり、多くの来館者が最初に足を止める人気スポットでもあります。 館内見学を始める前に、お手洗いをご利用になりたい方は、エントランス左奥にあるトイレをご利用ください。ここから先は見どころが続きますので、先に済ませておくと安心です。 メンフィスで発見された巨像 このラムセス2世像は、ギザの南に位置する古代都市「メンフィス」で発見されました。 メンフィスは約5,000年前、上下エジプトが統一された後に最初の首都として築かれた歴史ある都市です。当時、北エジプトと南エジプトの境界付近に位置していたことから、国全体を統治しやすい場所として首都に選ばれたと考えられています。 現在ご覧いただいている像は約3,200年前、ラムセス2世の時代に制作されたものです。 創造神プタハ神殿を守るために造られた像 メンフィスの守護神は、創造神として知られるプタハ神です。 ラムセス2世は、このプタハ神を祀る壮大な神殿を建立し、その正面に自身の巨大な立像を2体配置しました。 その後、長い年月の中で神殿は崩壊し、巨像も倒れて砂の中に埋もれてしまいました。しかし発掘調査によって2体の巨像が発見され、そのうち保存状態が特に優れていたものが現在のこの像です。 発見後はカイロ中心部のラムセス駅前に長年展示され、多くの人々に親しまれてきました。その後、大エジプト博物館の建設に合わせて慎重に移設され、現在の場所で来館者を迎えています。 王の威厳を表す伝統的な装い…